ニュース · 関税・日本企業

日本企業への関税影響
2026年9月22日時点の確認事項

米国の対ロシア制裁法が9月18日に成立。第三国への関税の対象条件と例外、日本企業が確認する取引情報を追記しました。IEEPA関税還付の受付条件も掲載しています。

Wing編集部 | 公開 | 更新

今回の更新

9月18日に成立した米国の対ロシア制裁法には、条件を満たす第三国からの輸入品に上限100%の追加関税を課す規定があります。これは一律100%の関税が発動したという意味ではありません。日本企業は、米国向け貨物の原産地と、今後公表される国別の適用条件を確認します。

関税の影響は、税率だけでは決まりません。誰が輸入者になるか、価格をいつ変えられるか、代替調達にどのくらい時間がかかるかによって、同じ製品でも利益への影響は変わります。米国向けの取引について、確認できた制度変更と、契約・見積・資金繰りで見直す項目を説明します。

情報確認日:2026年9月22日(米東部時間)。制度の網羅的な税率表ではありません。発表日と適用開始日を分け、品目・原産地・輸入申告時点の条件を確認してください。

関税ニュースの更新履歴

情報の発表日確認できた変更企業が確認すること
2026年9月18日
ホワイトハウス発表
対ロシア制裁法が成立。ロシアおよび条件を満たす第三国からの輸入品への追加関税を規定。法律上の上限と実際の適用税率を区別し、対象国・例外・通関上の開始日時を確認。
2026年9月17日
JETRO報道
CBPの9月15日の裁判所への報告では、CAPE第3段階の受付を10月6日に開始予定。最終清算済み申告について、訴訟・還付命令・IOR番号提出の条件を確認。
2026年7月15日
CBP発表
特定の銅製品について、7月30日から製錬国・鋳造国の申告項目を追加。対象のHTSコードに該当するか、仕入先から根拠を取得できるかを確認。

CAPE第3段階の受付条件

JETROが報じた受付条件は、IEEPA関税の還付訴訟を起こし、米国国際貿易裁判所の還付命令を得た輸入者(IOR)が、7月30日までにIOR番号をCBPへ提出していることです。それ以降の提出分の手続きは今後の発表待ちとされています。出典:JETRO(9月17日)

日本の輸出者は、米国側の輸入者と、対象の申告番号・支払額・精算条件を照合します。入金前の還付見込額を、仕入れや経費の支払いに使える資金として数えないようにします。申告データの整理と還付の手順で、受付条件を詳しく説明しています。

銅製品:税率の確認に加え、材料の情報をそろえる

CBPの案内は、米国原産を除くHTSUS 8544.42.10、8544.42.20、8544.42.90、8544.49.10を対象に、主な製錬国と鋳造国の申告を求めています。銅を含む製品すべてへの一律の条件ではありません。出典:CBP CSMS #69252300

対ロシア制裁法:第三国への関税は対象条件を確認する

ホワイトハウスは2026年9月18日、H.R.5334「Lindsey O. Graham Sanctioning Russia and Iran Act of 2026」への大統領署名を発表しました。以下は、署名発表と米政府出版局が掲載した成立時の法文から確認できる内容です。出典:ホワイトハウスの署名発表

確認できた事実:対象と上限、政府の手続き

出典:米政府出版局掲載の法文(112・113条)

天然ガス・農産物・食品などには例外規定がある

113条には、天然ガス輸入を理由に第三国関税を課す場合の例外があります。対象国のロシア産天然ガス輸入量がロシアの年間天然ガス輸出量の15%未満で、かつ輸入削減に向けた相当の措置を取っていることが条件です。15%の分母は、その国のガス輸入総量ではありません。

114条には農産物・食品・医薬品などの供給取引と、その関連取引についての例外があり、115条には大統領による適用免除の規定があります。食品・穀物を扱う担当者は、取引がこの例外に入るかを法務・通関担当者と照合します。他の法律に基づく既存関税まで免除されるという意味ではありません。出典:法文113条(d)、114・115条

今回確認した公式資料では、国別の適用税率と通関上の開始日時までは確認できていません。この法律の成立だけを根拠に、日本が対象・対象外と断定したり、上限税率を請求額に加えたりしないでください。

Wing編集部の解説:米国向けの取引を原産地別に確認する

日本からの直接輸出に加え、海外工場から米国へ出す貨物も確認対象です。貿易担当者は製造地・原産地・HTS番号・米国の輸入者・輸入予定日を整理し、米国の輸入者と通関業者に、追加措置が公表された場合の照合を依頼します。輸出地だけで原産地を判断しないことが必要です。

営業・経理担当者は、発注残と契約の関税負担者・価格改定条項を確認します。税率が確定していない取引は、確定済みの費用と分けて管理し、未確認の上限税率を通常の原価に織り込まないようにします。

日本企業への影響を4つに分ける

影響を受ける契約や在庫を探すため、立場ごとに確認項目をまとめました。以下は編集部の分析であり、個別企業の損失予測ではありません。

立場影響が出るところ先に集めるデータ
米国へ輸出するメーカー値引き要求、価格改定までの利益減少、注文数量の変化品目別売上・粗利、契約上の関税負担、値上げできる時期
専門商社・卸見積と船積の間の条件変更、在庫評価、立替資金発注残、出荷予定、仕入価格、価格改定条項、在庫の滞留日数
食品・穀物を扱う企業販売先の変更や調達先の競合、品質条件を満たす代替品の不足産地・用途・品質別の数量、輸入制度、代替承認に必要な日数
物流・通関に関わる企業書類の追加照会、保留貨物、保管料や納期への波及不足書類、通関の状態、到着予定、保管条件と費用負担者

一律の税率を売上全体に掛けない

USTRの2026年7月の301条措置には品目の除外があり、232条対象品なども区別されています。見出しの税率をすべての商品に適用すると、影響額を誤ります。出典:USTRの説明資料

  1. 米国側の品目番号、原産地、輸入予定日をそろえる。
  2. その取引に適用される根拠法、税率、除外・経過措置を通関業者と確認する。
  3. 関税の負担者と、値引き・価格改定の取り決めを契約書で確認する。
  4. 税負担、値引き、数量減少を分けて利益と資金への影響を試算する。

粗利への影響を試算する

説明用の仮定。実際の税率・企業の実績ではありません。

月間の関税評価額を1,000万円、追加負担を5ポイント、日本側が負担する割合を40%とすると、日本側の負担は月20万円です。

1,000万円 × 5% × 40% = 20万円/月

価格改定まで3か月なら累計60万円。数量減少、為替、輸送費、資金回収の遅れは別に足します。関税評価額は売上高と必ずしも一致しません。

発表が変わったときに見直す取引項目

まず主要な取引について「品目・原産地・輸入者・適用日・税負担者・価格改定日」を1つの表にします。AIで発表資料の変更点や契約書の該当箇所を探し、確認済みの税率を使って影響額を計算します。対象になるかどうかは、根拠資料と取引条件を照合して担当者が判断します。

このページは、適用条件・施行日・還付手続きなどに重要な変更を確認できた場合に更新します。関税ニュースのRSSから更新を受け取れます。

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編集:Wing編集部。出典のある事実と、編集部による分析・仮の計算例を区別しています。訂正のご連絡はお問い合わせフォームへお寄せください。