自動運転農機、場所ごとに肥料の量を変える技術、収量と用水不足を予測する研究を紹介します。市販品でも監視や運搬の人手が必要なため、導入前に作業全体の時間と費用を比べます。
コメや小麦の生産では、耕起、播種・田植え、生育管理、収穫、乾燥という工程がつながります。1台の機械の作業が速くなっても、乾燥施設や運搬が追いつかなければ全体の処理量は増えません。機械を選ぶ前に、収穫・運搬・乾燥のどこで待ち時間が出ているかを確かめます。
2026年9月22日確認。メーカーと研究機関の公式資料に基づき、市販品・実証・研究の段階を分けて紹介します。
栽培から収穫まで、どこに使うか
| 技術 | 何を変えるか | 確認した段階・条件 |
|---|---|---|
| 自動運転農機 | 田植え・耕起・収穫の走行と作業を支援する | 有人監視下での無人仕様に市販例。遠隔監視による運用とは区別する |
| ドローン等のセンシングと可変施肥 | 生育状態を把握し、場所ごとに肥料の量を調整する | 実証・導入例あり。施肥判断と機械へのデータ受け渡しが必要 |
| 生育・水資源モデルの連携 | 栽培時期を変えたときの収量・品質・用水不足を比べる | 2026年に公表された研究成果。自治体等への試算提供という利用形態 |
| 収量・品質データの記録 | 圃場ごとの結果を翌年の管理や出荷計画へ戻す | 対応農機・管理システムの構成、記録単位、出力方法を確認する |
自動運転コンバイン:無人走行と無人運用を区別する
クボタの公式資料では、有人監視下で自動化・無人化する農機を製品化し、遠隔監視下の完全無人運転を開発段階として説明しています。米・麦向けコンバインには、AIカメラなどで作物と障害物を識別する仕組みが使われています。出典:クボタ「無人自動運転農機」
導入を検討する際は、運転席に座る時間だけでなく、監視、圃場間の移動、排出、運搬、整備の時間も測ります。圃場の形状、進入路、通信や位置情報の条件、異常停止時の対応まで含めて、運用できるかを判断します。
可変施肥:生育に応じて肥料の量を変える
農研機構の可変施肥の導入資料では、水稲を中心に、センシングした情報を施肥に使うための確認事項が示されています。肥料代が増えて利益を圧迫する例や、施肥マップの変換に時間がかかる例も報告されています。増収分の売上から、肥料代とデータ作成の費用を引いて採算を比べる必要があります。出典:農研機構「可変施肥システム」
肥料の使用量を減らしたいのか、収量のばらつきや品質を改善したいのか、導入の目的を決めます。目的に応じて、試験区と比較する項目を選びます。水稲向けの設定をそのまま小麦に移さず、作物・土壌・施肥時期に合った条件を確認します。
2026年の研究:栽培時期と水不足を一緒に評価する
農研機構は5月27日、水稲の生育・収量モデルと河川流量モデルを組み合わせる手法を発表しました。栽培時期の変更による収量・品質と用水不足の影響を、一緒に比較するものです。農研機構が地域条件に応じて試算し、自治体等へ結果を提供する仕組みとして説明されています。出典:農研機構の研究発表
試算には作物の生育と河川の流量を扱うモデルが必要です。導入を検討する地域では、用意するデータと結果の受け取り方を研究機関に確認します。
導入効果は監視・運搬の時間と費用まで含めて測る
以下はWing編集部が提案する比較項目です。同じ作物でも面積、区画、天候で結果は変わるため、実証先の削減率をそのまま自社計画に当てはめないようにします。
- 作業:10アール当たりの総作業時間。監視・運搬・データ入力も含める。
- 生産:収量、品質、規格外率。複数の圃場や作期で比較する。
- 費用:機械代、保守、通信、外部委託、教育と修理待ち。
- 稼働:適期に作業できた面積、天候による待機、機械の利用日数。
自社購入、共同利用、作業委託を同じ面積・作業範囲で比べます。共同利用では、複数農家の収穫適期が重なった場合の順番も費用と合わせて決めます。
生産データを穀物取引につなげる
集荷・販売側にとって有用なのは、収量予測の数字だけでなく、「どの品質を、いつ、どの程度の確度で出荷できるか」です。圃場の情報を品種・年産・ロットに結び、予測値と検査後の確定値を分けます。
最初は1つの産地・作物で、収穫見通しが乾燥、保管、集荷予定まで伝わるかを確かめます。生産者・乾燥施設・集荷担当の間で、誰が、どの情報を、いつ更新するかを決めます。収穫の遅れや品質の変化が分かった時点で、配車や保管場所を見直せるようにします。
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