AIに調査や集計を任せる場合も、根拠を誰が確認し、施策の実行を誰が決めるかを決めておきます。削減できた時間は、確認と手直しを終えるまでの総時間で比べます。
「コンサルテック」は、調査・分析・業務改善にAIやデータ処理を取り入れる取り組みを指します。本記事では、この意味で使います。発注する企業は、任せる作業の範囲、納品物、社内に残る確認作業を見積もりの段階で確かめます。
McKinseyとBCGのAI活用例
McKinseyは、社内の知識を検索・整理する生成AI基盤「Lilli」を紹介しています。過去の知見を調査に使う事例として参考になります。出典:McKinseyのLilli事例
BCGが公表した2023年の実験では、GPT-4を使った効果は課題によって異なり、得意でない課題では成績が低下しました。これは当時のモデルと実験課題に関する結果です。2026年の製品を評価する際も、自社の仕事で確かめる必要があります。出典:BCGの実験報告
工程ごとにAIと人の役割を決める
調査から運用までを4工程に分け、AIに任せる作業と担当者が確かめる項目をまとめました。以下は編集部による提案です。
| 工程 | AI・プログラムで補助すること | 人が確認すること |
|---|---|---|
| 調査・ヒアリング | 資料の検索、発言の整理、追加質問の候補作成 | 対象範囲、発言の意図、資料の新しさと出典 |
| 現状分析 | データの整形、例外の抽出、集計用コードの作成 | 指標の定義、欠損の扱い、元データとの一致 |
| 施策の比較 | 選択肢の整理、前提を変えた収支計算 | 実現可能性、実行責任者、現場の制約 |
| 実装・運用 | 画面や処理の試作、テスト案の作成、差異の通知 | 受入基準、権限、例外時の手順、停止・復旧の判断 |
例:仕入価格の分析を、毎月使う仕組みにする
製造業の調達部門を想定します。仕入先ごとに品名の表記や単位が違うと、集計する前の照合作業に時間がかかります。AIに同一品目の候補を挙げさせ、人が対応表を承認します。その後は数量・単価・通貨を同じ定義にそろえ、計算をプログラムで再現できる形にします。
ここで数量増による支払額の増加と、単価の上昇を分けなければ、交渉すべき仕入先を誤ります。分析結果には、対象期間・換算レート・除外した取引・元の明細を残します。対応表と計算手順を残しておけば、翌月も同じ条件で比較できます。
効果は、手直しと確認の時間も含めて測る
従来20時間の作業が、AIでの初稿作成6時間、確認4時間、修正2時間になれば、実質の短縮は8時間です。初稿の6時間だけを従来と比べると、効果を過大に見積もります。
20時間 −(6時間 + 4時間 + 2時間)= 8時間
時間と併せて、数字の誤り、根拠にたどれない記述、担当者が判断できずに差し戻した件数を記録します。同じ難しさの業務を比較し、品質が落ちていないか確認します。
発注時に確認したい5点
- 成果物:報告資料に加え、データ定義・計算式・更新手順を受け取れるか。
- 根拠:重要な結論から原文や明細にたどれるか。
- 情報管理:入力できるデータ、保存先、学習利用、アクセス権限を決めているか。
- 検収:正解例と例外を使い、利用開始の条件を合意しているか。
- 継続費用:AI利用料、保守、社内の確認工数、終了時のデータ返却を見積もっているか。
まず1つの繰り返し業務で試す
最初は、元データと完成形がそろう繰り返し業務を選びます。例えば月次の仕入価格分析や見積比較です。作業を工程に分け、AIの出力を誰が、どの資料と照合するかを決めます。試した結果、手直しが多い工程は自動化の範囲を狭め、データやルールを先に整えます。
試行後は、確認・修正にかかった時間と誤りの件数を従来の作業と比べます。改善が見られた工程から、通常の業務へ取り入れます。
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